大野ロベルトさんの新連載映画評論『七色幻燈』『第03回 男はラクダに乗って』をアップしましたぁ。砂漠を舞台やテーマにした映画について論じておられます。大野さんは『映画という視覚的な表現において、砂漠が怒りや憎しみ、孤独や恐怖と結びついてしまうことには納得せざるを得ない。(中略)主人公にあてどもない旅を強いる物語では、とかく画面に砂嵐が登場しがちというわけだ』と書いておられます。確かにそうだなぁ。西部劇でも砂漠がおおござんす。でも砂漠はメタファーでもあるわけでして。
だが砂漠はなにも雨の降らない土地や海沿いにのみ現れるのではない。緑と水の豊かな津々浦々を旅しながら、いつも心に砂漠を抱えているような人間もいるのである。例えば寅さんこと車寅次郎。彼はラクダ色の上着を羽織っている。ラクダ色の腹巻をしている。そしてラクダ色のズボンを穿いている。彼はラクダに乗って旅をする人というよりも、むしろラクダのほうに近い。蹄のかわりに雪駄を鳴らして歩く。手綱を引く主人を持たないので、どこへ行けばいいのかわからない。だからしばしば癇癪を起こす。
(大野ロベルト『男はラクダに乗って』)
この読解は秀逸です。確かにテキ屋の寅さんはラクダ色のイメージだなぁ。石川の若い頃は、ちょい上の世代で大まじめに小林旭や宍戸錠らの日活アクション映画を論じ、日活ロマンポルノを論じたりする人たちがいました。でも寅さんに注目してる人はいなかったなぁ。それが最近、ちょっとした寅さんブームです。渥美清さんの没後十年といふこともあって、テレビで特番も組まれていました。山田洋次監督、寅さん完結篇の映画、撮らないのかなぁ。さくらたちが、『これから帰る』、『もうすぐ帰る』って電話してくる寅さんをずーっと待ってる映画(爆)。寅さん役に、渥美清さん以外の代役を立てることはできませんからねぇ。
■ 大野ロベルト 新連載映画評論 『七色幻燈』『第03回 男はラクダに乗って』 ■
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