岡野隆さんの詩誌時評『No.031 月刊俳句界 2015年09月号』をアップしましたぁ。本宮哲郎さんの俳句を取り上げておられます。昭和五年(一九三〇年)生まで平成二十五年(二〇一三年)に八十三歳で没した俳人です。生涯農業に従事しながら俳句をお詠みになりました。その俳句は強いです。
長男に生まれて老いて雪下ろす
あたらしき雪が空より父の墓
雪解けや湯釜のやうな信濃川
白菊の白深くしてふと翳る
漬茄子に荒塩打つて逝きにけり
初夢にあかい蕪を洗ひをり
大地より火の手があがり田の仕舞ひ
立ち眠る馬満月の翳の中
岡野さんは、『句は基本的に写生句であり実感句である。なんの変哲もない句であり技巧も凝らされていないように見える。ただこれほどまで滑らかな句を読むためには、何事かを大胆に切り捨てねばならない。(中略)無技巧的に見える俳風の中で本宮はその文学的成熟を深めている。読者があっと驚くような斬新な表現や取り合わせはないが、本宮の句では符丁のようにイメージが重層化している』と批評しておられます。
岡野さんはまた、今瀬剛一さんのエッセイを引用して震災文学についても触れておられます。高濱虚子は関東大震災について『あれは俳句にはならん』と言いました。岡野さんは、『文学者なら、いつまでも震災がもたらした事実的衝撃に寄りかかっていることはできない。(中略)天災には意味などない。それは空虚な陥没点である。しかし震災で生き残った人には次の日の生活が始まる。(中略)そこでの悲惨と希望の方が大切だろう。震災の衝撃は、いつもと変わらない日常の中で自ずから表現されてゆくのがふさわしい。(中略)当たり前だが震災のような外来の衝撃を待っていたのでは、文学者は仕事ができない』と批評しておられます。
石川も賛成です。熊本でも地震が起こりましたが、大地震はこれからも起こる。決定的出来事ではありません。もちろん震災を文学の題材にすることはできますが、その衝撃に寄りかかっていたのではダメです。
■ 岡野隆 詩誌時評 『No.031 月刊俳句界 2015年09月号』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
テーマは〝ジャンルの越境〟です。そしてジャンルの越境は、人の現存在では性の越境にも置き換わる。文学金魚大学校第1回セミナーでは、早稲田文学の表紙を飾った伝説の仙田学さんの美しい女装姿が見られます! あらゆる制度の脱構築を意識することで、ジャンルの越境は初めて可能になるのです。我こそはという皆さまも、ぜひ女装・男装・コスプレのドレスアップでご来場ください。 超ステキな開催会場、日仏芸術文化協会もそれって大歓迎!とのこと!
■ 日時と会場 ■
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・会場:日仏芸術文化協会 (東京都目黒区中根2-19-2 東急東横線・都立大学駅より徒歩約10分)
* 閑静な住宅街の中に位置する素敵な一軒家です。
・参加費:3,500円
* 参加者の皆さんには金魚屋刊行書籍一冊(定価1,500円)をプレゼントします。
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
■ 参加お申込用メールアドレス ■
お申込みはseminar@gold-fish-press.comへ! 。氏名・電話番号、パーティ(懇親会)参加の有無を明記してください。先着50名(FB枠35名)です。会場設営の都合上、懇親会のキャンセルは
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■