山田隆道さんの連載小説『家を看取る日』(第15回)をアップしましたぁ。新一さんは、黙ってじっと耐えて追い詰められていたんだなぁ。日本では1970年代くらいから核家族化が始まりましたが、現代の家族は基本、新一夫妻が経験するような軋轢とストレスには無縁になっております。しかし一皮剥けばこういふことは起こり得る。また家族の絆を考える小説の場合、ヒューマニズム的善意だけでなく、親しい家族だから起こり得る負の側面をも考えなければよい作品にはならないでしょうね。
今回の連載では、妻の亜由美さんの誕生日が小道具として使われております。亜由美さんの誕生日に事件は起こってしまうのですが、落ち着きを取り戻した新一は、病院のベッド脇に座る亜由美に『お誕生日おめでとう』と言います。なんらかの形で新一夫妻と栗山家が新たな一歩を踏み出したことを象徴しているでしょうね。小説らしい伏線の張り方です。
誕生日に新生が起こる作品はいろいろありますが、黒澤明監督の『生きる』もその一つです。志村喬演じる市役所の役人は、当時は不治の病だった胃がんにかかっていることを悟り、絶望します。で、喫茶店といふかカフェで呆然と座っていると、背後で若い女性たちの誕生パーティが開かれています。『ハピバースデートゥユー』の歌が聞こえ、クラッカーが鳴った瞬間に主人公は生き甲斐を見出します。見事な映像シーンでした。こういった小さな出来事の積み重ねが作品を良いものにするのですぅ。
■ 山田隆道 連載小説 『家を看取る日』(第15回) pdf版 ■
■ 山田隆道 連載小説 『家を看取る日』(第15回) テキスト版 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・場所:近日中に発表します
・参加費:3,500円
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!