長岡しおりさんの文芸誌時評『No.018 小説すばる 2016年03月号』をアップしましたぁ。映画『エヴェレスト 神々の山嶺』が現在絶賛公開中です。岡田准一、阿部寛さんのw主演で、尾野真千子、ピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、佐々木蔵之介さんらが出演しておられます。原作は文学金魚でインタビューさせていただいた夢枕獏先生です。獏先生の『神々の山嶺』は文句なしの傑作です。第11回柴田錬三郎賞受賞作品でもあります。元々『小説すばる』掲載小説ですが、長岡さんは『小説すばる』掲載の獏先生と岡田准一さんの対談を取り上げておられます。
長岡さんは、『『神々の山嶺』は他の作品とは質が違う傑作である。つまり、他の作品が傑作ではないのではなくて、傑作として質が違う。(中略)では純文学か、と言うと、いわゆる制度的な純文学、私小説の系譜のものではない。(中略)『神々の山嶺』が純文学とエンタテイメントの枠を超えて傑作なのは、およそ文学が本来的に抱えるべき、絶対的なテーマを完全に表現しているということに尽きる。そのテーマとは、人間を超えたもの、人智のおよばぬものである。ここではそれは岩の塊、いつ頭上に落ちてきて、我々を無言で押しつぶすかも知れぬものとして示される。人智がおよばぬ、理解不能なのだから〝神々の〟と呼ぶしかない』と批評しておられます。石川も同感ですぅ。
獏先生には観念的な頂点のやうなものがあるんだなぁ。それはデビュー作『カエルの死』からはっきり現れていたように思います。『カエルの死』はタイポグラフィを使用した詩集なのですが、詩本来の観念ベクトルがあり、かついわゆる詩的なもののコードから外れている独自の表現でもあります。石川が読んだ中で、詩が一番優れている小説家は獏先生です。獏先生には『岩村賢治詩集 蒼黒いけもの』もあります。まだ見に行ってないですが、『エヴェレスト 神々の山嶺』、楽しみであります。スチールを見てると、岡田准一さんも阿部寛さんも、現地のシェルパっぽく写ってるなぁ(爆)。
■ 長岡しおり 文芸誌時評『No.018 小説すばる 2016年03月号』 ■
■ 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)は3月31日〆切です ■
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