寅間心閑さんの『Ongaku & Bungaku by Kingyo』『No.026 キング・クリムゾン『クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)』』をアップしましたぁ。デビューアルバムの『クリムゾン・キングの宮殿』は1969年発売で、ポップス界はビートルズ解散で騒然としていました。石川は当時のことはリアルタイムで知りませんが、『クリムゾン・キングの宮殿』を聴いた人は『時代は変わったなぁ』と思ったでせうね。
キング・クリムゾンといふバンドはギタリストのロバート・フィリップが中心です。この方、やっぱ変わり者らしひ。ギターは耳コピがいいか、先生に習う方がいいかと聞かれて、『絶対習った方が無駄がない』とフィリップが答えているインタビューを読んだことがあります。でもギター教室で弾き方を習った人が、どーしてキング・クリムゾンのやうな音が出せるんでせうねぇ。石川は最初にキング・クリムゾンを聞いた時、ギターの音を聞き分けるのにだいぶ苦労しました。全然エレキギターっぽくない音なんですねぇ。
寅間さんはアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』を、同時代の他のミュージシャンの音楽を紹介しながら批評しておられます。このあたりに寅間さんの書き手の性格が出ているでせうね。〝I Talk To The Wind〟といふ曲について寅間さんは、『昭和40年代のカラー映像に顕著な粒子の粗さ。どちらにもそれが音として表出している』、『イントロで流れるフルートの音色は、まったく「牧歌的」ではなく、都会に潜む不安や恐怖を連想させる「寂寥感」に満ちています』と批評しておられます。
キング・クリムゾンはプログレッシブ・ロックの祖だと言われます。プログレッシブ・ロック・バンドは皆超絶技巧のミュージシャンバンドでしたが、不安や不快を心地良いポップスにしてヒットさせたのはキング・クリムゾンが初めてでせうね。それは寅間さんが書いておられるように『昭和40年代のカラー映像に顕著な粒子の粗さ』を感じさせます。新しい希望に満ちた時代が始まったはずなのに、1970年代はなんだか暗かったですね。
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