田山了一さんのTVドラマ批評『No.086 不便な便利屋』をアップしましたぁ。テレビ東京さんで金曜日深夜0時12分放送されているドラマで、「水曜どうでしょう」の鈴木貴之監督・脚本作品です。不肖・石川、このドラマ好きだなぁ。ほぼ毎週見ております。文学金魚のテレビ批評はレビューアーの山際さんと田山さんに、てきとーに面白そうな番組を取り上げていただいているだけなのですが、テレビ東京さんの番組がけっこう多いです。大変失礼ですが、テレビ東京さんは一時期は弱小東京ローカル局と呼ばれていたこともあります。でもここに来て形勢が逆転し始めております。かなり自由に思い切ったことができる土壌がテレビ東京さんにはあるのではなひでせうか。
『不便な便利屋』はいわば不条理コメディなのですが、不自然さを感じさせません。田山さんが「気にならないのは、リズムがあるからだ。視聴者には状況を知らせないと、チャンネルを替えられてしまうという強迫観念があるだろうが、では状況がよく伝わったらチャンネルを替えなくていいと思えるのか。状況を飲みこんだら、その後の展開の予想がついて替えてしまうということはないか」と書いておられる通りです。
エンタメ系の映像作品は視聴者を飽きさせないことが重要ですが、あざとい展開は嫌われます。このドラマでも主演の岡田将生さんが「僕は東京から来たイケメンなのにっ」と叫び、町の人から「それほどイケメンじゃないぞ」と突っ込まれたり、ドラマの設定自体が倉本聰さんの『北の国から』のパロディだったりします。楽屋落ちといふか、フィクションをフィクションと提示しながらメタレベルでリアルを演出してゆこうといふ意図があるわけです。このようなドラマの作り方は当面続きそうですね。『あまちゃん』なども典型的でした。
それにしても『不便な便利屋』の配役は絶妙だなぁ。主演の岡田将生さんは好演ですが、とにかく脇役がいい。遠藤憲一さん、鈴木浩介さん、井之上隆志さん、田中要次さんらの演技が素晴らしい。トリンドル玲奈さんが、謎のマッチ売りの少女といふのもハマっています。ドラマといふか演劇は、つくづく全体のバランスだなぁと感じさせる秀作です。
■ 田山了一 TVドラマ批評 『No.086 不便な便利屋』 ■