ラモーナ・ツァラヌさんの連載エセー『交差する物語』『No.014 ヨーロッパという名の幻想』をアップしましたぁ。そそ、日本って島国なのよねぇ。自分の国の周りに地続きでいろんな国があり、自国の中ですら様々な言語と民族が共存している大陸とは全然環境が違ひます。日本は単一民族国家だと言ふと、アイヌがいるぢゃないか、在日のみなさんもいらっしゃる、沖縄だって独自の民族文化だよ~といふ批判を受けてしまひますが、ヨーロッパに限らずアジア、アメリカ大陸などを旅行すると、日本がいかに単一〝的〟な国であるかが実感できます。いい面悪い面がありますが、ユーラシア大陸の〝文化のドン詰まり〟であるのは確かです。日本を超えたら広大な太平洋しかないんですから(爆)。
ラモーナさんは、経済活動などを中心に、ヨーロッパEU連合の中での統合が進んでいると書いておられます。インターネットの社会インフラ化の影響も大きい。「仕事のためにも娯楽のたにも、みんなインターネットを使っている。その過程で、良くも悪くも英語を使うことになるし、当人は意識していなくても、みんな同じ情報を目にしている。・・・各地域特有の情報よりも、ヨーロッパ中の人々が共有している情報の方が圧倒的に多い」と書いておられます。
ただま、情報化社会が進めば進むほど、かつてとは違う〝幻想〟が蔓延するやうになる。ラモーナさんは19世紀のヨーロッパで起こったジャポニスムを例に挙げておられますが、ジャポニスムはヨーロッパ人の〝幸福な誤解〟によって日本文化を理解し、それをヨーロッパ文化(主に絵画)に取り入れていったわけです。しかし情報化が進んだ現代では、かつてのような幸福な誤解は生じようがない。その代わり国家、民族、宗教的アイデンティティが肥大化しつつある傾向があります。
これについてラモーナさんは、「私たちはみんなお互いに対して幻想を抱いている。そうである限り、お互いに関する見たいことしか見えないのだ。・・・個人である私たちの交流相手はあくまで個の「人間」であり、団体や国家ではない。みんなが幻想に惚れやすい時代だからこそ、唯一無二である人間同士の交流の大切さを、改めて意識する必要があるだろう」と書いておられます。まったくその通りですね。
日本ではマスメディアになるほど、なんとなくの風潮に流される傾向があります。日韓関係が悪くなると韓国のタレントがテレビから消え、イスラーム国のニュースが報道されるやうになるとムスリムのタレントが消える。それってかえって信頼関係を損ねることになると思うんだけどなぁ。「見たいことしか見えない」やうではダメでありまふ。
■ ラモーナ・ツァラヌ 連載エセー 『交差する物語』『No.014 ヨーロッパという名の幻想』 ■