北村匡平さんの映画批評『創造的映画のポイエティーク』『No.010 赦されざる「憎悪」の強度―木下惠介『永遠の人』』をアップしましたぁ。木下惠介監督は言わずと知れた松竹映画全盛期を代表する監督の一人です。
北村さんは木下監督の代表作の一つ『二十四の瞳』について、「「ありえたかもしれない理想的な女性像」を仮構し、女性のナショナリズムはなかったかのように被害者として女と子供を使って語るその技法は、敗戦の歴史的トラウマを負った日本人の傷跡を癒したのだろう。その偽史的な歴史を助長していたのは、唱歌などの日本的な音楽であった」と書いておられます。日本の戦後に必要な映画だったと思いますが、北村さんが指摘されている通りでしょうね。ただ今回取り上げておられる『永遠の人』は、同じ戦後的テーマの作品でありながらちょっと質が違うようです。
『永遠の人』について北村さんは、「憎悪と愛情。この二つの概念はどこか似ているようにも思える。・・・「愛」は、いつ消えてなくなるかわからない危うい感情だ。すなわち「愛」は、「憎しみ」ほど持続する確かなものではない。この物語の先に想像されうるのは、「赦す」とお互いに言うことができた夫婦が「愛」を育んでいく姿ではない。「愛」という不確かな接続ではなく、「憎悪」による断つことのできない強固な繋がり、それによって確かな生を感じ生きていく夫婦の姿だ」と書いておられます。じっくりコンテンツを読んでお楽しみください。
■ 北村匡平 映画批評『創造的映画のポイエティーク』『No.010 赦されざる「憎悪」の強度―木下惠介『永遠の人』』 ■