佐藤知恵子さんの文芸誌時評『No.026 オール讀物 2015年12月号』をアップしましたぁ。山口恵以子さんの『クラブ・サンセット』と浅田次郎『ブルー・ブルー・スカイ』を取り上げておられます。いずれもアメリカと日本人の関わりを書いた小説です。佐藤さんもアメリカ主導のグローバリズム経済についてちょっと書いておられます。

 

 だけどアメリカで起こることは必ず日本でも起こりますわ。(中略)まあこんなこと言っちゃ失礼だけど、日本の方がアメリカより拝金主義者が少ないから、政治経済の仕組みとしてもなんとか経済格差を縮めようという努力が続いているわね。だけどこの問題は根深いわよ。楽して稼げるなら仕事したくないってのも人間の本音よね。そして楽して稼ぐ方法は、現代では確かにあるわね。

 昔はそれはとっても大きなリスクでしたわ。でも今ではサラリーマンとして会社で働くのもノーリスクとは言えないわ。投機のリスクと地道に働くリスクが近づき始めているのよ。(中略)リスクが等価になっていい投機筋が見えたら、投機リスクを選ぶ人が増えるのは当然ね。貧富の格差は拡大するけど資本主義では個人の富を奪うことはできないから、富裕層の意識構造改革で富の再分配方法を模索するしかありませんわね。もち富裕層だって努力してるのよ。だけど努力の質が昔ながらの勤労じゃないってことよ。

(佐藤知恵子)

 

石川も佐藤さんと同感で、貧富の格差は当面開き続けるだろうなぁと思います。だけど文学者の中でも詩人さんたちは、天下国家の一大事を論じるのは大好きだけど、お金のことは我関せずといふ方が多いようです。しっかし現世を描く小説家はそうはいきませんよね。

 

どの文芸誌でも〝あなたも作家になれる〟的な特集が大流行ですが、石川がこういった企画を立てるとしたら、お金のことを中心に組み立てるだろうなぁ。文学者が文学少年・少女の心を持っていて、いい作品を書こうと日々努力しているのは当たり前のことです。んなことを強調しても無益です。文学者のベースにプラスアルファした一般的知識が各時代で必要になるわけで、現代ではそれはお金の問題かもしれないと思います。

 

出版社の収益システムはどうなっているのか、作家の収益構造はどういったタイプが考えられるのかを大雑把にでも把握すれば、作家の文学活動に対するスタンスは自ずから変わるのではないかと思います。フリーライターとして特化しなければ、現代は本が売れなければ原稿料収入をほとんど期待できない時代です。だけど詩のように大ヒットを出すのは難しい文学ジャンルもある。じゃあどうすればいいのか。それを作家それぞれが自己の全能力を再点検して考えなければなりません。

 

 

佐藤知恵子 文芸誌時評 『No.026 オール讀物 2015年12月号』 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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