谷輪洋一さんの文芸誌時評『No.015 文藝 2016年秋季号』をアップしましたぁ。特別企画の『十年後のこと』を取り上げておられます。谷輪さんは、『時代はしばしば、十年単位で語られる。それは本当は理由のないことで、時代のトレンドは三十年やそこら続くのが普通だ。十年というのは人の生活の単位、人生の区切りに用いられるに過ぎない。我々は自分の感覚、多くは自身の希望的観測をもとに時代の流れを読解しようとしているだけだ』と批評しておられます。

 

石川も谷輪さんに賛成かな。文学の流れが明らかに変わったのは1980年半ばからです。キリがいいので1985年を起点としてもよござんす。このあたりから明かな文学の衰退が始まりました。小説の戦後文学、自由詩の戦後詩・現代詩などの影響がいっきに薄れ始めたんですね。で、90年代以降の同時代作家たちが新たな読者を獲得できたかといふと、そうは言えない。むしろ90年以降の作家も含め、ほとんどの読者の視線は過去に向いています。安部公房や三島由紀夫の特集を組んだ方が、文芸誌は安定して売れるのです。この状況は30年近く経った2016年でもまだ継続中です。

 

この状況が変わるのか、相変わらず変化なしなのかがこれからの10年のアポリアかもしれません。ただ石川が書いたような状況判断すら一般化していないのが現状です。たとえば商業主義の小説界とは違い、純文学的な知性で時代の変化に反応できるはずの自由詩の世界では、いまだに現代詩といふ過去の雰囲気(アトモスフィア)に頼っている。何かを変えようとすれば、多少乱暴でも近過去の総括と、大胆な未来予想が不可欠です。それができなければ、現状維持しているつもりで泥沼の衰退に向かうだけです。

 

予言などいつだって無意味ですが、石川はこの先10年くらいで文学の世界は変わると思います。2020年代にはそれがはっきりするでしょうね。2000年から2010年は一部で0(ゼロ)年代、つまり空白の十年と呼ばれていますが、文学史的には1985年からずっとゼロ年代かもしれません。きれいさっぱりそこでの仕事が忘れられる可能性がある時期だということです。

 

 

谷輪洋一 文芸誌時評『No.015 文藝 2016年秋季号』 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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