遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第28回)をアップしましたぁ。漱石『三四郎』で与次郎は道化回しのような役割です。でもすれっからし。田舎者の三四郎に借金して返さないけど、それを三四郎が恋心を抱く美彌子ちゃんから借りたと言う。でも「あの女はダメだやめとけ」とも言う。恋の手助けをしてるのか、ダメ出しするために奔走しているのかわかりませんね。
三四郎は恋に関しては優柔不断な青年ですから美彌子ちゃんに恋心を抱きながら告白もせずフーラフラしています。その機微は遠藤さんの体験型と言いますかバーチャルリアリティ型の『虚構探偵』を読めばよくわかります。『三四郎』はビルドゥングスロマンなので三四郎君は甘酸っぱい恋愛幻想で頭がいっぱい。それは美彌子ちゃんも同じ。
でも三四郎が尊敬する広田先生はそれを冷たく見ている。与次郎は三四郎と美弥子ちゃんの淡い恋心を自分のために上手く利用している。そして三四郎も美彌子ちゃんも現実制度を突き破る勇気がない。どうやらその空隙に殺人事件が起こっているようです。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第28回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第28回)横書版■
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