小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第015回 自販機の孤独/ジンベエザメとカルティエ/月』をアップしましたぁ。1回3本のショートショート小説の掲載ですから、もうすぐ50本ですね。こりは簡単に108本に到達しますな。これだけのレベルでこれだけの作品数を書くことができる力、間違いなく小松さんの作家としての高い力量です。

 

 「逆回りの時計をつくれば時間が戻るとでも?」

 「さあ」

 でもね。

 世界中の憂鬱を嘆いているかのような大げさなため息をつきながら、彼女は続けた。

 「みんな、もう一度月に行きたいんだと思うよ」(中略)

 「君は」

 彼女に訊いてみた。

 君はどうなの。

 あたしは。

 「ブランコのない公園は嫌だな」

 少しホッとした。

 僕には左回りの時計を作る技術も、ロケットを設計するだけの資金もなかったからだ。時計は1時12分を指していた。秒針が右に揺れるのを彼女の肩越しに見ていた。

(小松剛生『月』)

 

『月』といふ作品は、若い男の子と女の子のたわいもない会話から構成される小説です。ある意味無駄話だと言っていいかと思います。しかしそれが〝壮大な無駄話〟にまで昇華されるところが小松さんの作品の特徴です。このくらい豊かさと余裕と空しさと希望を感じさせるショートショート連作は少ないでしょうね。

 

 

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小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第015自販機の孤独/ジンベエザメとカルティエ/月』 pdf ■

 

小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『第015自販機の孤独/ジンベエザメとカルティエ/月』 テキスト ■