大野ロベルトさんの連載エセー『オルフェの鏡-翻訳と反訳のあいだ』『No.006 兄弟たちの言葉』をアップしましたぁ。エスペラント語について書いておられます。エスペラント語は世界共通語として人工的に考案された言語です。ほかにも同種の言語はあるようですが、エスペラント語が一番メジャーな存在です。

 

大野さんは『ユダヤ系の眼科医であったルドヴィコ・ザメンホフは、ポーランドのビャウィストクという都市に誕生した。あらゆる思想と同様、エスペランティズムの発生もこの土地の特性と無関係ではない。つまりビャウィストクにはユダヤ人の他にロシア人、ポーランド人、ドイツ人がおり、彼らはいずれも異なる言語を話し、お互いに歩み寄ろうとしなかった。・・・ザメンホフが、通わぬ心のために流れる血をどうにかして止めようと思ったことは当然であろう』と書いておられます。勉強になるなぁ。

 

ただま、人工言語にはいろいろ問題があるやうです。大野さんは『国家がなく、文化がないということは、その言語には心がないということになりはしないだろうか。すぐに思い当たるのは俗語である。雅俗の観念がそもそも存在しないエスペラント語には、本来的に俗語がない。俗語がないということは人々の生活もなく、度外れの喜怒哀楽も、野放図な快楽もないということである』と批評しておられます。

 

大野さんはまた、『私たちがつねに追い求めるのは文学の言葉である。そして文学における言葉とはとりもなおさず、バベル以前の完全な言語へ立ち帰ろうとする、絶望的な叫びであるはずだ』とも書いておられます。じっくりお楽しみください。

 

 

大野ロベルト 連載エセー 『オルフェの鏡-翻訳と反訳のあいだ』『No.006 兄弟たちの言葉』 ■