田山了一さんのTVドラマ批評『No.049 55歳からのハローライフ』をアップしましたぁ。もうひとつ生もの系のTV批評がありましたのでアップさせていただきます。NHKさんの土曜ドラマ『55歳からのハローライフ』です。原作は村上龍さんで、本には五つの短篇が収録されています。ドラマも本の構成通りで、リリー・フランキー、風吹ジュン、原田美枝子、小林薫、イッセー尾形さんという芸達者な俳優さんたちが各回の主人公を演じておられます。
田山さんは、『定年後を考え始める年代のケーススタディ集のように捉えればよいのだろう。・・・そのように作られたドラマを観ると、残念ながら自分は違和感をおぼえた。自分は、などとレビューにあるまじき注釈もしくは逃げを入れたのは、はまる視聴者にははまるだろう、と思われるからだ。他人のケーススタディに過ぎなかったものが、血肉を備えた具体的な映像として目の前に現れたとき、自らの持つ「55歳」の人のイメージと合致しているか、していないか、ということだ』と書いておられます。不肖・石川もだいたい同じ感想ですね。
田山さんはまた、『難しいところはあると思う。ケーススタディとしてできるだけ一般化することで、平凡な夫婦として共感を得るなら、年相応に成熟していなくてはならないが、それではドラマにならない、ということだろう。ただ、55歳という年齢なら、仮に年甲斐もなくと卑下するとしても、その行為はなるほどそれまでの経験、職業、すなわちその「人種」を露わにするようなもののはずなのである』と批評しておられます。
主人公の年齢に関わらず、小説やドラマで〝こんな人いるのぉ?〟というタイプを設定しても、それに近い実在の人物は存在するものです。だからこそフィクションでは年齢とか人間関係が重要になってくる。今回のドラマのやうに、主人公を定年が見えてきた55歳とすれば、いやおうなくその年代の男女が抱える問題や葛藤が浮き彫りになってくるはずです。
しかしドラマを見ても、そんな感じがしないんだなぁ。主人公たちの言動は、基本的に若者と同じような多様性を示していると思います。つまり55歳くらいは昔のやうな初老でも分別盛りでも、頼りがいある大人でもない。これからなにになろうかな~、これからどう生きようかな~と考えているやうな感じ。巷では『アナと雪の女王』が大ヒットしていて、石川も道を歩きながら『ありの~ままにぃ~』と歌っている高校生くらいの女の子を数人目撃しました。でもこの歌は、50代の主婦が歌うと全然違う雰囲気になると思ふのでしたぁ(爆)。
■ 田山了一 TVドラマ批評『No.049 55歳からのハローライフ』 ■