山際恭子さんのTVドラマ批評 『No.023 35歳の高校生』 をアップしましたぁ。米倉涼子さん主演の学園ドラマです。〝スクールカースト〟 と呼ばれる、学校内での人気の有無をバロメータに生徒を序列化する最近の現象を取り込んだドラマです。単なる人気投票ではなく、ファッションセンスや趣味、部活など、複数の項目別に生徒を序列化するのが特徴のようです。いずれの項目でも下位に位置付けられる生徒がいじめの対象になるわけです。『35歳の高校生』 は今日放送の2時間スペシャルで最終回であります。皆さんお見逃しなくっ (笑)。
いじめは根絶できるのか、いじめの構造とは何かというのは、根源的な問題です。どーも多くの人間は、自己と他者は違うと差別化しないと居心地が悪いようです。差別化は当然人間の能力の序列化につながるわけで、それが頑張ろうという活力にもなるわけですが、問題は自分より下位にいる人間を蔑視することで、自己満足を得ようとする人間もたくさんいることです。成人後の社会でのいじめなら、ある程度まで自己責任で回避・闘争(逃走)せよと言うことができますが、半ば強制的教育制度である高校くらいまでの子供たちに対してはそう言うことはできません。難しい問題であります。
問題を公表することは、その一つの対処方法でしょうね。学校でのいじめが深刻な問題になるのは、その実態が十全に暴かれていないからでもあります。実も蓋もない残酷ないじめの実態を映像化するのは教育的効果があると思います。見たくないけど見てしまうテレビドラマがあってもいいんぢゃないでしょうかね。手口を公開すると真似する子供が現れる可能性は確かにあります。しかしフィクションが持つ力を信じて、テレビ学園ドラマはもう少し冒険してもいいと思うわけです。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.023 35歳の高校生』 ■