池田浩さんの文芸誌時評 『No.007 S-Fマガジン 2013年04月号』 をアップしましたぁ。巻頭グラビアはイラストレーターの依光隆さんの追悼だそうです。依光さんのイラスト、すぐに思い浮かばなかったのでウィキペディアで調べたら、『宇宙英雄ペリー・ローダン』 シリーズのメインイラストレーターさんだったんですね。ああっ、あのイラストっ!と石川は膝を叩いたのでした。依光さん、お世話になりました。
『ペリー・ローダン』 シリーズは、1961 年にドイツで連載開始されたSFです。複数の小説家によって書き継がれていて、日本のキヨスクに当たるドイツのヘフトで毎週販売されています。つまり月に最低 4 本は新作が書かれているわけですが、日本では確か 2 話をワンセットにして文庫本で刊行されました。今も刊行され続けてるのかなぁ。不肖・石川、日本版の第 100 巻くらいで挫折してしまひました。終わらない物語といふ意味ではちょいSF的ですが、えっらいローテク物語でもあることは、『ローダン』 シリーズをお読みの皆さんはよくご存知のことだと思いますぅ (笑)。
『ローダン』 シリーズには小説の全ての要素が詰め込まれています。冒険、戦争、政治経済、恋愛、人間が持っている未知への飽くなき探求心などです。それが手を変え品を変え現れるわけです。退屈な巻も多いですが、時にはハッとするような優れた巻もあります。考え得る限りの物語構造が集積されているシリーズで、SFというジャンルの根源を感じさせる作品群だとも言えます。千夜一夜を遙かに越えても物語は尽きないわけです。そのあたりが金魚屋の批評陣の皆さんが、SFや怪奇小説を高く評価される理由なんでしょうね。
■ 池田浩 文芸誌時評 『No.007 S-Fマガジン 2013年04月号』 ■