松原和音さんの連載小説『学生だった』第02回をアップしましたぁ。この小説は本質的に女図鑑かもしれませんね。男が捉えた女ではなく女が捉えた女。淡いようで息苦しい。そこがまた魅力的でもあります。
主人公は普通の女の子です。女子大に通い彼氏もいる。でも満たされない。「授業と、バイトと、家。その繰り返しで、日々が過ぎていく。たまに友達と映画に行ったりする。合間に図書館とか、公園にもいる。若い時期を無駄に過ごしている、という観念があるから、デートもする。でも、なにも変わらない。トンネルを抜けたら一般道だった、的な。とにかく退屈で、イライラしていて意味もなく焦っている」とあります。
このイライラを、よくある自意識過剰で無意味に抉らないのがこの作家のいいところです。淡々と描く。女たちとの関係性から捉えにくい虚を囲い込み、たまに男が虚の周囲に波風を立てる。虚はあるのですが無にはならない。どこかにしぶとさがある。それは主人公だけでなく女友だちたちも同じだと思います。
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