小原眞紀子さんの連載小説『幕間は波のごとく』第14回をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連載サスペンス小説です。中年に差しかかった姉妹を主人公集団にしたサスペンス小説です。
今回は小休止といった章ですが、姉妹を中心とした家族の会話などに非常にリアリティがあります。こういった細部が小説という表現を説得力のあるものにします。『幕間』は楡木子が主人公で語り手でもあるわけですがほとんど三人称一視点小説の書き方に近い。これは簡単なようでテクニックが必要な小説手法です。
私小説に代表される私が主人公の小説と、彼、彼女、太郎、花子といった主人公を立てる三人称一視点小説が小説の書き方の代表的なものです。まあこれ以外のやり方をしてみてもたいていは失敗します。で、私が主人公の一人称一視点小説は主人公の内面描写が中心になる。この内面描写を緻密にやると小説は動かなくなります。当たり前ですね。私の感情・思想しか描かないわけですから。
これに対して三人称一視点小説では事件を起こし、場所移動などもしやすい。その反面、人間の内面描写が浅くなる傾向がある。このメリット・デメリットを踏まえた書き方を小原さんはなさっているわけです。
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第14回 縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第14回 横書版 ■
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