小原眞紀子さんの連載小説『幕間は波のごとく』第06回をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連載サスペンス小説です。中年に差しかかった女性の、しかも姉妹を主人公集団にしたサスペンス小説です。これからの時代に合っている小説ですね。
さて今回も様々な伏線が張られています。義妹の恋人との関係は前回から引き続きですが、主人公は帰省します。そこで義母の失踪という過去の事件が想起され、それから主人公は自分の過去の文章を掘り返す。そういったところがサスペンス小説の伏線ということになります。
移動と省略は小説にとって大変重要な要素です。作家はつい説明しようとしがちですが、読者はまだるっこしい説明など省いて読み進めたい。スリップするように重要な要素が浮かぶ方が絶対的に読みやすいわけです。また移動すれば必ず何かが起こるというのが小説の鉄則です。風景、大袈裟に言えば時空が変われば物語の流れも変わる。私小説ではじっと一箇所に留まっている小説が多いですが、これは中編くらいまでのお話。長編になれば移動しなければにっちもさっちもいかない。『幕間』では高い小説テクニックが駆使されています。
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第06回 縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第06回 横書版 ■
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