小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『祈』(第30回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。小原さんには新年第1弾として、YouTubeの文学金魚ちゃんねるにも登場していだきました。『2021年の文学金魚占い』と題しまして、今年の文学界の方向性などについてお話していただいています。そちらの方も是非ごらんください。さて、今回の詩篇タイトルは『祈』です。
我々はいずれ空しく
多くの仕事は空しく
時は駆け抜ける
馬のように
我々はそれを見送り
また仕事に勤しむ
下手だろうと
上手かろうと
時を過ごす術は他になく
仕事の空しさを
祈りと呼び
すべてを諦める
炭酸水を飲みながら
神は毎日
リズムを刻んでいる
(小原眞紀子『祈』)
ちょっとシニックですが、わたしたちの〝仕事〟は小原さんが『祈』で描いている通りでしょうね。淡々と仕事をこなしてゆくほかないわけです。ただ仕事が祈りのようなものであるとすれば、そこには絶望もあり希望もあるわけです。絶望がなければ祈りは生じませんし、希望を持たなければ祈りは空しい。そういった人間の営みを捉えながら、人間の営みを突き放して描いているのが小原さんの『Currency』連作です。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『祈』(第30回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『祈』(第30回)横書版 ■
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■ 第10回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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