小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『転』(第25回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。今回は『転』です。
物語としては
それは源である
東方の王の乳しぼり女で
桶からこぼれる
永遠にこぼれつづける
ミルキーウェイだが
美しすぎる、と
師は首をふる
流れは最初からあり
そこから物語が生まれる
物語は流れではなく
幻影を生み出す
夏の夜に
灯の影に子らがつどい
獣や姫や
琴やかんざしを
映しては水飴を食べた
あるはずのない
しかしあってしかるべき
記憶であり
それ自体が幻影である
(小原眞紀子『転』)
詩らしい詩です。詩は基本的に断言であります。直感的断言だと言ってもいい。小説が地上の物語であり、わかっていてもやめられない、どうしようもない人間の煩悩とか性(さが)を描くための芸術であるとすれば、詩は読者と一瞬で決定的な了解を結ぶために書かれる。『転』は物語の発生ですね。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『転』(第25回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『転』(第25回)横書版 ■
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