金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の、小原眞紀子さんの連載小説『No.011 本格的な女たち』をアップしましたぁ。同窓会サスペンスは心理サスペンスですねぇ。よほど記憶のいい人でない限り、大学生くらいの記憶でも十年、二十年経つと曖昧になっています。おまけにそこに、社会人になって以降の記憶と経験が重なるから厄介です。
学生時代が、人間最後の直接的理解と交流の場であるのは確かだと思います。友だちといってもほとんどの場合、利害関係がないからです。しかし社会人になってからの友だちは違います。なんらかの形で利害が絡みます。ある意味それは当たり前のことなのであって、利害を前提とした友だちだという理解がない人とは、ちゃんと付き合えないところがある。大人になると友情にも社会性が必要になるわけです。
学生時代の友だちは、お互いに社会性が希薄だったわけですから、相手の心根の底の底まで見えるところがある。時間が経ってから学生時代の友だちに再会すると、その性根のようなものが増幅されていることが多いですね。年を取れば取るほど、その人が持っていた本来的な性格が先鋭化されてくるところがある。それがなんらかのイグニションで爆発したりすると、実に奇妙な事件が起こったりする。同窓会殺人事件は、当人たちにしかその切実さがわからないという意味で、一種の密室殺人事件でもあります。
■ 小原眞紀子 連載小説『No.011 本格的な女たち』縦書版 ■
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