ラモーナ・ツァラヌさんの連載小説『No.002 時空堂』(下編)をアップしましたぁ。ラモーナさんの本格的日本語小説処女作です。下編、完結編です。日本語で書かれていますが、ルーマニア人であるラモーナさんのルーツが垣間見える作品になっています。
『時空堂』で面白いなと思うのは音ですね。主人公はオーロラの川の中で音を聞く。このあたりの機微は非常に説明しにくいのですが、音が正しい。目で見て音が聞こえる。そうでなければ本物ではないと思います。そのあたりのことを、ラモーナさんが考え抜いて創作したとは思えないので、恐らく本能的に選択した記述なのでしょうね。
ある種の幻視的な心性を持った作家たちがいます。日本では宮澤賢治が代表的です。彼はクラムボンとかカンパネルラといった音を聞いた。賢治研究者が必死になってそのルーツといいますかオリジンを探し求めているのですが、見つからない。多分これからも見つからないと思います。賢治は天上の音を聞いてそれを文字にしただけですから。
こういった心性はキリスト教圏では案外なじみ深いものです。東アジアの作家たちは文字、つまり漢字として世界を認識しているところがあるので、音に対してちょっと弱いところがある。ラモーナさんにはその独自の作家的特性を活かして作品を書き続けていただきたいですね。
■ ラモーナ・ツァラヌ 連載小説『No.002 時空堂』(下編)縦書版 ■
■ ラモーナ・ツァラヌ 連載小説『No.002 時空堂』(下編)横書版 ■
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