第32回 全国高等学校クイズ選手権
日本テレビ系 8月31日(金) 19時56分~
もう32回もやっているということは、結構、人気があるらしい。確かに見ていると、何となくハマる。高校野球のハマり方とは違うが。
高校野球の見どころと言えばエラーで、しかも出始めると続出する。打たれ始めても、ボンボン打たれる。その脆さに、あーっ、とか言いながら見るんだろう。あたしゃ見たことないけどね。キライだから。
このクイズ選手権は逆に、すげー、とか言いながら見るようになっている。舌を噛みそうなカタカナの定理とか、超マイナーっぽい歴史上の出来事とか、8000m級の山岳の名前全部とか、ま、よっく覚えてること。
で、灘とか開成とかが強くて、シードとかあるのかわからないが、地区予選とかやってるので、教育的観点からしたら、ちゃんと勝ち上がってきたのだろう。公立は不利で劣勢というのはもう、決まっていることらしくて、それはまあ、甲子園に慶應義塾高校とか出て、やたら感心されるのと同じ。
それで「被災地 (なのか?) 会津若松から公立の星、福島県民の期待を一身に担って…」的なアナウンスも、あるっちゃあって、千葉県立船橋高校とともに頑張ってたけど、やっぱ開成には敵わず。
そう、だから何で見ていてハマるかと言うと、「結局世の中、そんなもん」というのが伝わってきて、高校生という若さでそれに直面している現場から目が離せなくなるのだ。過酷、というほどではないが。プチ過酷な感じ。
ただ、よくわかんないのは、そこに出てる子、特にリーダー格の子はたいてい学年一の秀才ってことになってる。別に疑いたいわけじゃなく、優秀じゃないと思ってるんでもないが、それって本当なのか?
この選手権、今回で開成が三連覇を果たしたそうである。「日本一の頭脳」と持ち上げるのがお約束だが、クイズ自体が一種の「特殊技能」と化しているから三連覇なんてことが起きると思う。なぜなら筑波大付属駒場とか渋谷教育学園幕張とか、偏差値の高い学校はいくらでもあって、各学年の「日本一の頭脳」がどこにいるやら、不明なはずだからだ。
つまり甲子園で「常勝 和歌山智辯学園」とかがあって、それはそこの野球部に伝統があるっていうのと同じで、開成の中に伝統的なクイズ同好会的なものがあるに違いない。それは囲碁クラブとか、鉄ちゃんクラブとかと同様、わけのわからんもんに無償の愛を注ぐ好き者の集まりのはずだ。だって、そーゆー問題だよ。あのクイズは。
数学の問題とかは、なぜか内容がしっかり映らないけど、そんなに難問ではない気がする。ガシャガシャ計算してるとこだけアップにして、元モー娘。とかにスゴイスゴイと言わせるのも、お約束なんだろうが。『チボー家の人々』の作者名を答えられた子が、何かの資料集で作家名と作品名を丸暗記した、とちょっと自慢気に語っていたが、それで君は『チボー家の人々』は読んだのか? あたしも読んでないがね。
こーゆーわけのわからん自慢が飛び出てくるということは、彼らが一種のムダな特殊技能を磨いているのであり、別に日本一の頭脳たらんとしてるわけではないことを示している。
で、開成だろうと福島の星だろうと、子供、とりわけ男の子の面白いのは何を隠そう、そういうクッダラナイことに血道を上げちゃうところなのである。
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■