テレビ朝日系列 月~金 深夜 0:20~ (金のみ1:20~)
ランキングとは何か。順位を付ける、ということには、人にとって何か本質的な欲望が潜んでいるのだろうか。
「お願い! ランキング」という、テレビ的な投げやり感が漂う番組名、また「ナイスですねぇ」と叫ぶウサギの、あの潰れた NOVA のウサギを彷彿とさせる品のなさ、「おねがい戦士」と称する、ワケのわからないセーラー服のゴレンジャー紛いのアニメキャラに、最初は誰も多くを期待しなかっただろう。
「こんなランキングが見たーい!という人々の願いを受けて…」というアナウンスを聞くたび、自分たちの勝手な都合を、物言わぬ視聴者の「願い」にすり替えて平然としているのが、何とも人を馬鹿にした感もあった。が、ではランキングで番組作りをすることの、局側の都合とは何だろう。
データ編集、情報処理やリスト形式といったものは、基本的に新しいアイディアを必要としない。モノが集積しているところへ出かけていって、見せる順番を決めればいいだけのことだ。そのシステムの中で、「お願い! ランキング」はさらに「視聴率」だけでなく「放送外収入」という新しいテーマを番組にもたらしたという。またレギュラーでタレントを起用せず、アニメキャラクターだけで進行することは経費節減につながるだろう。「お願い! ランキング」はつまり徹底して資本主義的なテレビ番組なのだ。
モダン = 近代化された人間たちの宿命として、ランキングというヒエラルキーにいったん取り込まれると、上へ上へと昇るように頑張らざるを得なくなる。「お願い! ランキング」の「お願い!」は、このランキングに巻き込まれた人々の「一番になることへの必死さ」と重なって見える瞬間がある。そのとき資本主義社会の労働者 = 消費者である私たち視聴者もまた、ついつい引き込まれて見てしまうのだ。
「お願い! ランキング」の「見方」はあくまでも、たまたまテレビを付けたらやっていて、ついつい見てしまった、というものだ。月~金の深夜の帯で、日替わりメニューのいくつかがいつの間にか生活に入り込み、それなりの親しみとヒットを生み出す。
話題となるのは、「美食アカデミー」や「ちょい足しクッキング」など、食の関係が多い。いつの間にか生活に入り込むものとして、望むと望まざるとにかかわらず日に三度は出会う食事というものと、この番組の形態はよくフィットする。
レギュラーのタレントは使わない番組だが、「美食アカデミー」の川越シェフ、「ちょい足しクッキング」の担当 AD など、番組から「タレント」も出ている。もちろん彼らは「スター」ではなく、この番組らしく、いつの間にか記憶され、親しみを持たれたような存在だ。そして逆転した「星」と言えば、番組最後の「答え合わせ占い」は、その日の運勢を「ランキング」している。これは占いの定義そのものをひっくり返す、いい感じである
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■