鶴山裕司さんの『BOOKレビュー・詩書』『No.022 われらは終わりの始まりの時代にいるが、時代精神は軽い―新倉俊一詩集『転生』』をアップしましたぁ。新倉俊一さんの新詩集『転生』の書評です。『転生』は四章構成の1千行の長篇詩で意欲作です。詩集の帯には『戦後文学の意識の流れをたどる長篇詩集』とあります。
『転生』は西脇順三郎さんへのオマージュから始まるのですが、鶴山さんはその理由を『現代に至るまで、優れた長篇詩を複数書き残した詩人は西脇順三郎以外にいない。そして西脇詩は欧米の長篇詩とは明らかに質が異なる。(中略)東洋的無が彼の思想の中核なのだ。(中略)西脇詩では漆黒の無から鮮やかで華やかな現実存在はもちろん、人類の叡智と呼べるような思想が蜃気楼のように立ち上がり、また無へと帰ってゆく。(中略)結果論として、この方法(思想)以外で優れた長篇詩を書いた日本の詩人はいない。それは西脇的方法が日本の長篇詩の、あるいは日本文学の源基であることを示している』と批評しておられます。
また『転生』が『戦後文学の意識の流れをたどる』意義について、『『転生』には太宰治や三島由紀夫、中村真一郎、遠藤周作、大江健三郎ら戦後を代表する作家たちが現れる。図式的に言えば彼らは戦中に吹き荒れた日本思想に激しく反発し、ヨーロッパ的な明るく論理的な精神と構造的世界観に、無防備なまでにその精神をさらすことで新たな日本文学を追い求めた戦後作家たちである。西脇的な東洋的な無が日本文学の土壌だとすれば、彼らはその上に新たな家を建てようとした。(中略)そのような構築的意志なしには戦後文学は語れない』と書いておられます。
鶴山さんはまた、『わたしたちの二十一世紀の〝現代〟は、比喩的な言い方になるが戦後文学と比較して遙かに軽い質のものだろう。もはや個の特権的才能や、肥大化した自我意識を頼りに新たなヴィジョンを生み出すことはできない。空虚化した自我意識に雪崩れ込む世界が外皮のように新たな詩と詩人を創出するはずだ』とも書いておられます。この方、なんか摑んでおられるやうな気配ですね。石川はそれを活用して、詩よりも小説書いてくらはいモードなんですが(爆)。
■ 鶴山裕司 『BOOKレビュー・詩書』『No.022 われらは終わりの始まりの時代にいるが、時代精神は軽い―新倉俊一詩集『転生』』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
テーマは〝ジャンルの越境〟です。そしてジャンルの越境は、人の現存在では性の越境にも置き換わる。文学金魚大学校第1回セミナーでは、早稲田文学の表紙を飾った伝説の仙田学さんの美しい女装姿が見られます! あらゆる制度の脱構築を意識することで、ジャンルの越境は初めて可能になるのです。我こそはという皆さまも、ぜひ女装・男装・コスプレのドレスアップでご来場ください。 超ステキな開催会場、日仏芸術文化協会もそれって大歓迎!とのこと!
■ 日時と会場 ■
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・会場:日仏芸術文化協会 (東京都目黒区中根2-19-2 東急東横線・都立大学駅より徒歩約10分)
* 閑静な住宅街の中に位置する素敵な一軒家です。
・日仏芸術文化協会地図
・参加費:3,500円
* 参加者の皆さんには金魚屋刊行書籍一冊(定価1,500円)をプレゼントします。
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
■ 参加お申込用メールアドレス ■
お申込みはseminar@gold-fish-press.comへ! 。氏名・電話番号、パーティ(懇親会)参加の有無を明記してください。先着50名(FB枠35名)です。会場設営の都合上、懇親会のキャンセルは
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■