山際恭子さんのTVドラマ批評『No.113 嫌な女』をアップしましたぁ。NHK BSで日曜日午後10時から放送されていたドラマです。この時間帯、な~んか弛緩していて、石川もぼんやりBSドラマを見ていたりしまふ。『嫌な女』は黒木瞳、鈴木保奈美さん主演で、原作は桂望実さんの同名小説です。『小説宝石』さん連載でしたな。
山際さんは、『良くも悪くも、徹底して羊頭狗肉であった。(中略)つまりここで描かれている「嫌な女」も、ちっとも嫌な女ではない。まあ、可愛い、いい女に過ぎない。(中略)ところが我々の欲望として、心底嫌な女を見たい、と思っているところがあるのだ。日常見られない、何か極端なものを見たがる。しかしそれがずっと続くと、胸が悪くなる、などと言って見なくなる。連続テレビドラマとしては難しいところだ。嫌な女ふうに見せかけて、だんだんと好感度を上げていく、というのは手法としては正解なのかもしれない』と批評しておられます。
まあこのあたりがテレビと映画、文学に即せば大衆エンタメ小説と純文学(中間小説)の違いとなるのでしょうね。『嫌な女』は結婚詐欺を巡る物語ですが、結婚詐欺にも寸借詐欺から殺人までレベルがあります。殺人になると、詐欺どころではない人間精神の闇を描かなければなりません。また寸借詐欺といっても、伏線のある詐欺と、心の隙をつかれるような詐欺があります。現実は伏線のある詐欺は少なくて、なんらかの形で心の隙をつかれる場合が圧倒的に多い。しかしそれを描くのは意外と難しいのでありまふ。
小説では作家はまず主人公を設定しますが、この主人公の内面を描けば描くほど、知性が高く、心持ちが優しい、いい人になりがちです。つまり小説では頭が悪く、本当に意地悪で何を考えているのかわからない人間を描く方が難しい。大衆小説やテレビドラマでは、めったに不気味な悪人は登場しませんが、それは根は善人の犯罪者を描く方が遙かに簡単だからです。その意味で現実の事件は小説などのフィクションを超えています。カポーティが『冷血』を仕上げたあと、じょじょに小説が書けなくなった理由もそのへんにあるのかもしれません。
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・場所:近日中に発表します
・参加費:3,500円
・懇親会費(オプション):2,000円
* セミナー修了後に懇親会を開催します。参加はご自由です。
■ テーマ ■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!