小原眞紀子さんの連載小説『はいから平家』(第12回)をアップしましたぁ。み幸さんと洋彦さんは四国から神戸に移動しました。『はいから平家』はロードムービー的な作品なんだなぁ。九州旅行が目的だったわけですが、西日本一帯を移動しております。
京都の後に訪れたせいもあり、鄙ぶりばかりが記憶に残る。そんな奈良でばかり句ができたのは、やはり自分が田舎者だからだろうか、と洋彦は呟く。
柏手の音が天に抜けてゆくようだった、清しい伊勢の宮でも何も詠めなかった。句帖にあるのは鳥羽の句ばかりだ。桃山式の天皇部屋を持つという、鳥羽は二見の宿では、番頭に乾燥わかめを売りつけられ、呼んだタクシーは勝手に土産物屋に横付けした。真珠展示会場、と称したそこを何も買わずに出ると、やっぱりミキモトさんじゃなきゃ、あかんのん、と女主人が捨てぜりふを吐いた。
若布買い 諭されて買う 真珠かな
そそ、伊勢あたりの商人の皆さん、すんごく商売熱心ですよね。関東人はキャッチセールスぢゃないのぉと感じるほど強引なんですが、ぜんぜん悪意のなひところが面白いです。ありはお伊勢参りくらひからの伝統なのかなぁ。そりにしても『若布買い 諭されて買う 真珠かな』って、かなりひねくれております(爆)。そろそろ旅は終わりに近づいているのでありましたぁ。
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■ 小原眞紀子 連載純文学小説 『はいから平家』(第12回) テキスト版 ■