小原眞紀子さんの連載小説『はいから平家』(第02回)をアップしましたぁ。『はいから平家』は純文学系の作品ですが、ユーモアとサービス精神があるところが小原さんらしひですね。
「こちらで、たあくさんロケがありましてぇの。皆さんご存じでがんす」
あ、ロリコン変態少女趣味の、と洋彦は言い、管理人は一瞬黙ると、ベンチに坐った巨大な座敷童のような人形を指した。
「監督さんはこの町出身であらせられますけぇの。これが、さびしんぼ人形」
あ、セーラー服と機関銃はすごくよかった、最高だったと、み幸はやっと言う。
「それは違う。別の監督」と管理人は呟き、昂然と頭を上げて廊下を案内する。(中略)
「見てくれんされ、志賀直哉の書斎の復元、すてきでがんしょ。こんな素晴らしい尾道の海を眺めてのぉ、ほれ、誰でも作家になれそうでがんすのぉ」
そうですねと、洋彦は頷く。
うんうん、なれそうと、み幸も激しく頷く。
この箇所を読んで、不肖・石川爆笑してしまひました。もちろん作品のテーマは別にあるわけですが、こういった軽味もときおりは必要ですよね。
文学金魚は総合文学メディアですが、それはコンテンツのラインナップだけでは不十分だと考えています。小原さんのように優れたマルチジャンルの創作者が文学金魚的コンセプトを現実のものにしてくださるのだと思ひます。まだまだ『はいから平家』は続きます。小原さんのマルチジャンル的姿勢も、今後どんどん明らかになってゆくことと思います。
■ 小原眞紀子 連載純文学小説『はいから平家』(第01回) pdf 版 ■
■ 小原眞紀子 連載純文学小説『はいから平家』(第01回) テキスト版 ■