山際恭子さんのTVドラマ批評『No.063 女はそれを許さない』をアップしましたぁ。深田恭子、寺島しのぶさん主演で、加藤雅也、竹中直人、松重豊さんらが共演しておられます。女性弁護士モノで、『深キョンは、新米のときに法廷で失敗したことがトラウマとなり、弁護士資格を持ちながら居酒屋などでアルバイトを続けていた。一方の寺島しのぶが演じる女性弁護士は腕利きだが手段を選ばず・・・弁護士資格停止となる。で、ペーパー弁護士の深キョンを「歩く弁護士バッジ」として利用し、自身は助手の肩書きで弁護士活動を再開する、というあらすじ』(山際さん)です。
弁護士や法廷モノドラマの場合、主人公とクライアント・犯罪者との関係が重要になります。両者が共に魅力的な人間として描かれていれば、ドラマの魅力がグッと上がるわけです。これは小説でも同じです。んで『女はそれを許さない』の場合、深田恭子さん主演でキャスティングした時点で主人公の物語になることが決まっていますねぇ。山際さんは、『現実において厄介なのは、巨大組織も男たちも、そんなにわかりやすく横暴に振る舞ってはくれない、というところだ。・・・弱者を演じる依頼人も、そんなに間抜けでいてはくれない。・・・現実には、弁護士が思いつくぐらいのことはすべて気がついているのが依頼人、当事者というものだ』と批評しておられます。
ただドラマや映画は〝絵〟なのであり、『水戸黄門が悪者をやっつけるのと同じ』(山際さん)やうなストーリーの中で、どれだけ俳優さんたちが魅力的な演技を見せられるのかが鍵でせうね。山際さんは『テレビドラマでの深キョンは特に今さらの感があり、寺島しのぶが出てるから見ようとするのではないのか』と書いておられますが、不肖・石川も賛成であります。寺島さん、いい俳優さんです。不肖・石川がテレビ・映画関係者なら是非出演していただきたい女優さんでありまふ。
当たり前ですがドラマ・映画はフィクションなのであり、現実世界で起こっている事件を元に物語を作ってゆきます。けなげで美しい女性ばかりが登場するのではドラマにならないわけで、時にはレイプ、家庭内暴力、悪女なども物語の重要な要素になります。でもさういふ役をやってくれるビッグネームの女優さんって、日本にはほとんどいないんですね。寺島さんは、シナリオに納得すればなんても演じてくれそうな女優さんです。清楚系美人女優さんたちはスター中のスターですが、寺島さんのやうなリアリティある女優さんがもっと活躍できるといいなぁ。
■ 山際恭子 TVドラマ批評『No.063 女はそれを許さない』 ■