寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第34回)をアップしましたぁ。小説は基本、人間の心理描写ですから繊細さと鈍さが必要です。シャーロックホームズもコロンボも、名探偵は人間心理の専門家でほとんと神ですね。ほんのわずかな痕跡から人間心理とその構造を組み立てていきます。ホラー小説も似たようなものです。怖がりかつその理由を探るには繊細さが必要です。
じゃ鈍い小説はどういうものかというと、これが案外見あたらない。小説の場合、特に主人公格の登場人物は鈍いように描かれていても、鈍いフリをしている場合がほとんどです。鈍さは暴力や身勝手になって表れますが、それによって繊細に回りの人間を誘導している場合が多い。鈍さを表現するのは案外難しい。
そういう意味で日常小説は普通の人間の鈍さを表現できる器です。もちろん鈍すぎては小説が進まない。登場人物たちが繊細さと鈍さをちょっとずつ出し合う必要があります。『オトコは遅々として』はそういったタイプの小説でこの技法はけっこう難しい。鈍くなり繊細にもならなければならない理由が、誰もが触れたくない主人公の隠し子を中心にグルグル回ります。
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第34回)縦書版■
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第34回)横書版■
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