寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第33回)をアップしましたぁ。ちょっと不穏な雰囲気になってきましたね。浮気というわけではないのですが主人公はスネに傷持つ身です。今のところ相手が騒ぐ気配がないので平穏ですが、隠し続けるのもどーかなー。いや、どーかなーどころじゃない重大なインシデントなので、やっぱ隠し続けるのはマズいのであります。
小説は現世の人間関係を描く芸術です。基本は自己がいて他者がいる。他者とは自己ではない者のことです。もっと正確に言えば絶対他者です。絶対他者とはどういうことかと言うと、自己には絶対に理解できない面を持っている。不可知を秘めている。ただこの不可知は関係性が深まらないと露出しません。男女二人の関係の場合はそれを追い詰めてゆく展開になることが多い。
ただ男女二人だと小説世界が狭くなる。男女どちらかをかなり奇妙な人格に造形すれば中・長編にできないことはないですが、それはかなりの高等テクニック。すんなり中・長編にするには三角関係が安定した構造になります。男と男、男と女でもいいですが、二人の間にそれなりの相互理解が成立していて、それを三人目の他者が揺さぶるという構図です。
『オトコは遅々として』は子育て小説という土台もあって、この三人目の他者がほとんど姿を現さない元恋人とその子どもに設定されています。この構図は新しいですね。続きが楽しみです。
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第33回)縦書版■
■寅間心閑 連載小説『オトコは遅々として』(第33回)横書版■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 金魚屋 BOOK Café ■