第8回金魚屋新人賞受賞の松岡里奈さんの小説『スーパーヒーローズ』(第18回)をアップしましたぁ。主人公の私はカリフォルニアからニューヨークに転居します。アメリカは場所(都市)によって住みやすさとか文化がけっこう違います。効果的な場面転換になっていますね。
私小説は基本的には短い小説です。当たり前ですね。主人公の心理描写中心になるわけですから。大正時代まで遡るとえっらい古い感じがしますが、葛西善蔵らの極私的私小説作家の作品は長くても30枚くらいでした。志賀直哉『暗夜行路』は長編ですが、あれは自然主義系私小説であり、ザックリ言うと島崎藤村系のフィクショナル私小説の系譜です。
んで『スーパーヒーローズ』は葛西善蔵系正統私小説と言っていいわけですが長編です。長編になった(できた)理由は時間軸と空間軸の延長ですね。主人公が成長し空間を移動する。これがなければ私小説で長編を書くのは難しい。またテーマが煮詰まるというか、露わにならないと読者を引張れない。その点も充分な説得力のある私小説です。
p.s.
西村賢太さんが急逝なさいました。石川、寝込んでしまうくらいショックです。なんで西村さんのような優れた作家が急逝してしまうんだろう。理解できない。大袈裟ではなく、明治維新以降に現れた最も知的で優れた私小説作家でありました。
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第18回)縦書版 ■
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