第8回金魚屋新人賞受賞の松岡里奈さんの小説『スーパーヒーローズ』(第14回)をアップしましたぁ。『スーパーヒーローズ』は私小説ですが、イデアリズム小説でもありますねぇ。イデアリズムはプラトンから始まるというのが定説です。イデアは理想ですが、手の届かない理想というのが一般的解釈です。そこからアイドルやアイコンが派生していったのは言うまでもありません。
で、イデアは物事あるいは世界の本質です。それは決して手の届かない本質ですが、手が届かないからといって無い、存在しないわけではありません。イデアリズムは簡単に言うと〝世界の本質は在る〟という思想です。つまり〝有本質論〟。〝世界には核となるような本質がある〟という思想がイデアリズムということになります。言い換えると〝核のない生成は無い〟という思想になります。虚無主義的な〝無本質論〟とは対立する考え方で、ポスト・モダニズム思想は基本無本質論ですから、それとは対立する古い思想と捉えられがちです。
しかし創作者はイデアを抱えている場合が多い。核がなければ創作という生成は不可能だからです。ポスト・モダニストを標榜する小説家もいるにはいますが、まあハッキリ言えば、ほぼ全員の小説が失格というか長続きしない。創作においてポスト・モダニズムなんぞはなんかの冗談みたいなものだということです。
で、松岡さんの『スーパーヒーローズ』はジョニーをイデアとしています。それは手が届くけど不可侵で、実在するけど不在です。まさしくイデア。それを本気で信じている。スゴいことです。
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第14回)縦書版 ■
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第14回)横書版 ■
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