第8回金魚屋新人賞受賞の松岡里奈さんの小説『スーパーヒーローズ』第5回をアップしましたぁ。今回から中学~高校篇です。
小説では事件が起こらなければなりません。しかし今は事件を起こしにくい時代です。決定的な事件が起こりかけると、作家個人の内部でも様々な疑問や戸惑いが生じる。情報の大洪水が事件の絶対性を相対化してしまうんですね。事件を起こそうとしても筆が鈍る時代状況があります。
松岡さんの『スーパーヒーローズ』では決定的な事件が起こります。主人公フミの内面の事件です。じゃあ内面の事件だからという限定で事件として成立しているのかと言えば、そうではありません。フミの内面的事件は社会に突き抜けるような強さを持っています。だからそれはパブリックな事件だと言えるわけです。
石川はYouTubeの文学金魚ちゃんねるで何度も言っていますが、今の私小説のあり方に批判的です。昔ながらの私小説的な書き方をなぞった私小説モドキの小説が、純文学として高い評価を得ているだけだと言い切っていいと思っています。私小説本来の書き方として『スーパーヒーローズ』は正しい。久しぶりにホンモノの私小説作品が現れたと思います。
で、松岡さんと寅間さんの対談も文学金魚で公開しています。また新たな試みとして松岡、寅間さんにYouTube用のパブリシティ動画に登場していただきました。動画と文字の対談を見て、読んで比べてもらえれば、作家や作品というものが自ずからわかるところがあると思います。実在の作家とその文字表現は明らかに審級が違います。もちろん作家の場合、対談であっても文字表現がメインです。そういった落差もお楽しみいただければと思います。
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第05回)縦書版 ■
■ 松岡里奈 連載小説『スーパーヒーローズ』(第05回)横書版 ■
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■ 第10回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第10回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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