着信御礼!ケータイ大喜利
お題を出して、視聴者にリアルタイムに投稿させるという番組である。こういった視聴者参加番組としては、最も成功しているという印象がある。だからといって、面白くてたまらない、というわけではないところが難しいのだけれど。
視聴者参加というのは、番組の方でアンケートなどを用意して、イエスかノーかで答えさせる、といったものが多い。所詮は刺身のツマであり、番組進行に都合よく寄与させるといった体のものだ。
ケータイ大喜利は、番組の核となる部分をまるまる視聴者に投げている。計算のきかないことで、勇気がいると思う。これも皆様の NHK こそが、マスとしての皆様のお力を信じてやれることではあるだろう。投稿者は常連になるにつれ、ルーキー、レジェンドといった称号が与えられる。これらの称号は、投稿者をクラス分けして競ってもらう以外に、莫大ともいえる数の投稿を素早く仕分けするための指標として、特定の投稿者にシード権を与える目的もあるかと推察できる。
相当数のオペレーターたち、そして投稿紹介を担当する千原ジュニアが必死にディスプレイを見つめ、その目の動きで大慌てで投稿を選んでいるとわかるのは、呑気な番組コンセプトの割になかなかスリリングではある。民放各局は、まさにこういうストレスに耐えられないからこそ、視聴者を刺身のツマに置かざるを得ないのかもしれない。
実際、投稿が選ばれるまで、かなり間の抜けた時間が流れる。司会の今田耕司は懸命にその間を埋めようとするが、それはスリリングとは言えない光景である。NHK でしか許されないだろう弛緩したしゃべりは、今田耕司のコメディアンとして、また MC としての評価も下げている。皆様の NHK の長寿番組の司会者として全国に認知されることと引き換えなら、仕方ないのかもしれないが。
この短時間での選考において、オペレーターの指先から、また千原ジュニアの視線から漏れた「傑作」も多くあるだろう。が、少なくともこれだけの手続きを経て選ばれた投稿に対して、板尾創路一人が判定を下すというのだけはどうにも納得できない。笑いの才能についても、知的なセンスについても豊かにあるとは思えない “審査委員長” の存在が、惜しくもこの番組の興を削ぐ最大のものだ。
もとより笑いのツボは人によって異なる。個人的には「ハクション大魔王、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! さて、何て言った?」というお題で、「ええ、寺山修司には影響受けましたねェ」というのが最高傑作に思えた。
板尾の判定では「棒二本」(中) 。いったいにこの人は、くどくどと説明的なものをよしとする傾向がある。こういう笑いは反射的なもので、短くあるべきなのだが、それがわからないのか、それともNHK 仕様ということなのか。
真の視聴者参加番組として、判定への異議申し立て、もしくは視聴者判定のシステムを検討されたし。
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■