片島麦子さんの連載小説『ふうらり、ゆれる』(第11回)をアップしましたぁ。今回から詩音とリサの子供、古羊さんの甥っ子の慧君が主人公の章になります。
小説は基本、一人主人公の方が書きやすい。複数の主人公を立てる小説は長編でなければ据わりが悪いのです。短編ではほぼ鉄則です。ですから複数主人公の設定は中編までということになりますが、これはテクニカルに言えばかなり高度です。長編は大河ドラマのような複数主人公の流れを設定できますが中編では難しい。ですからあらかじめ複数主人公が織りなす中心点が設定されていなければなりません。〝あらかじめ〟がみそですね。書き始めてから考えたのではまず間違いなく小説世界が崩れます。
で、第5章はいいですよ~。奇跡が起こります。もちろん小説的な奇跡です。小説は原則として地上の物語です。地上で起きる出来事をきっちり地上で終わらせなければなりません。しかし物語が地上の、ということは多かれ少なかれ汚濁にまみれた現世にへばりついていたのでは魅力を発しません。天上への志向を持っていなければなりません。しかも地上にいるままです。これがかなり難しい。
また物語の大団円の設定方法は基本的に二つです。最後の最後で楔を打ち込むか、読者が気がつかないような形で最後のちょい手前にそれを持ってくるかです。『ふうらり、ゆれる』は小説テクニックという面でも高い完成度の小説です。じっくりお楽しみください。
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第11回)縦書版 ■
■ 片島麦子 連載小説『ふうらり、ゆれる』(第11回)横書版 ■
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