ためしてガッテン
NHK総合 水曜 20時~
情報番組としては抜群の信頼性を誇る。さすが NHK、とよい意味で思わせる番組の一つである。もちろん NHK だろうと朝日新聞だろうと、ヤラセは起きるときは起きる。それは事件、不祥事であって、民放でも同じだ。けれどもさすがに NHK は、このレベルではヤラセなんかしない、とは思える。
どうしてかと言うと、NHK では視聴率、特に瞬間視聴率を取るという圧力が低いからだろう。これは見逃せない、とリモコンを押す手を止めさせるには、どうしても劇的な効果をアピールする方向へと行かざるを得なくなるのだ。それを思うとちょっと気の毒で、一概に糾弾する気もしなくなる。本気にする方も、どうかしてないか。もっとも本気にしてもらわねば、制作側はなお浮かばれないが。
だがそもそもテレビというのは誰もが見るもので、とりわけそこからの情報を信じるしかない人々、信憑性を確認するすべを持たない情報弱者に基準を定めてあるのは、言うまでもない。
情報番組というのは、前にレビューした「お願い! ランキング」でもそうだが、商品の販促に繋がる可能性がある。つまり「耳寄りの情報を得た」と思っていたら、納豆なり何なりをやたらと買わされていただけだった、ということだ。品薄になり、普段から買っている人が入手できなくなるほどなのだから、すさまじい営業力だ。問題なのは、その放送に広告の要素が含まれていると、了解されてないことだろう。
特定の商品名が連呼されていればわかりもしようが、「納豆」とかに「カレー粉」とかいう一般名詞であれば、そこの業界団体と繋がっている可能性について、テレビを見ている誰もが考えおよぶということはない。
「ためしてガッテン」に信頼感があるのは、そもそも商品を広告できない NHK の立場からくるものでもある。そして番組自体の作りからしても、何か特定のものを食べるとこうなる、といった雰囲気はない。すでに広く普及している日用品の使い方に異議を唱えるものなどが多い。
それだけにいまひとつインパクトに欠ける場合や、何だかなー???という場合もある。今回の「ついに発見!顔のシワ 本当に作らない美肌術」(2012年09月19日放送)ときたら、秋田の美肌のおばちゃんたちを次々登場させ、弾性繊維がどうたらとか思いっきり引っ張ったあげく、箱の中に隠されていた秘密兵器は「日焼け止めクリーム」。
番組スタッフが全員男なのか知らないが、私たち女性たちがシミ・ソバカス対策限定のつもりで日夜、日焼け止めを必死で塗ったくってると思ってるんだろうか。保湿だけではシワがなくならないなんて、経験則でみんな知ってる。日焼け止めクリームの SPF 表記の隣りに PA++ とか書かれるようになったのって、ずいぶん前からじゃね?
さすがにこれだけじゃマズいと思ったか、シワが目立たないメーク法ってのも、オマケにやっていて、それはまあ、よかった。とにかく毎週毎週、あっと驚くことなんて、あるわけがない。大変だなあ、とは思う。少なくともヤラセで品薄で消費者に迷惑、というのがなければ、それでいいとも思う。
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■