金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の、小原眞紀子さんの連載小説『No.012 本格的な女たち』をアップしましたぁ。同窓会サスペンスは面白いですねぇ。記憶が曖昧なところがスリルをさらに盛り上げます。
人間の記憶が曖昧なのは仕方がないのですが、久しぶりに会った友だちと昔話をすると、ぜんぜん記憶が食い違っているといふこともあります。周りの人から自分が、ある事件の首謀者だとみなされていた、なんてこともあります。たいていはイタズラくらいの小事件なのですが、これが殺人事件になると記憶違いでは済まないですよねぇ。
自分ではまったく身に覚えがないのに、周囲の人間から外堀を埋められてゆくということも人間社会ではしばしば起こります。ヒドイ場合は誤認逮捕とかになってしまふわけです。で、微罪だと「あーそーですよ、あてくしがやりましたよー、認めるから早く解放してくだされぃ」といふことにもなりかねない。後で無罪とわかって「なんで認めたんだ?」とまたさらに責められたりするわけですが、孤立無援の人間の心は弱いものでもあります。
小原さんの『本格的な女たち』には、学生時代にちょっと目立っていた女性が、周囲の関係性に絡め取られてゆく小説です。しかもそれは過去の亡霊で、誰の記憶もあてにならない。そしてよほどのことがないかぎり、過去の亡霊だけで殺人といった重大事件は起きないわけで、今現在の関係性が影響している。誰にとっても身近に感じられるサスペンス小説です。
■ 小原眞紀子 連載小説『No.012 本格的な女たち』縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『No.012 本格的な女たち』横書版 ■
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