大野露井さんの連載小説『新故郷』(第13回)をアップしましたぁ。最初に文学金魚新人賞を受賞した小説『故郷-エル・ポアル-』があり、次に『故郷-エル・ポアル-』の注釈、そして今回の小説『新故郷』です。〝エル・ポアル〟は作家自身による注釈を間に挟んだ2つの作品から構成されます。
故郷はその気になれば、どの作家にとっても作品のネタになり得ます。引っ越しを繰り返した作家でも、土地勘や思い出があれば特定の場所を舞台にすることができます。基本は特殊性と普遍性ですね。あまり馴染みのない場所だと読者は感情移入しにくいわけですが、それを新しい情報などで引っ張り興味を惹き付けていくわけです。ただそれだけでは不十分で、人間にとって普遍的な感情や思想に作品の落とし所を設定してゆく。
簡単なようですが、作家がまず、故郷を相対化して捉えていないと作品の完成度は上がりません。故郷に対する愛憎を生のまま吐き出したのでは作品がまとまりにくいのは言うまでもありません。この反対に、ああどこかで読んだなという形で故郷に対する普遍的な感情・思想を落とし所にすると、大衆小説としてはOKですが純文学ではなかなか厳しい。大衆文学であれ純文学であれ、従来とはちょっとだけ故郷に対する作家の感情・思想が新しい形で表現されているのが理想です。なかなか難しいですが、まずは基本を抑える必要があります。
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