寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『十五、ユリシーズ』をアップしましたぁ。人間は男と女の二種類しかいないわけで、その生物学的、社会的落差や断絶をフル活用した小説です。もち社会的には男女平等なわけで、小説家の中にも男女性差を認めないと公言なさる方もいらっしゃいます。しかし小説という表現に即せばどーなんでしょうね。言語にせよ社会的階級、国家、文化、性別にせよ、人間社会から違いや断絶が無くなってしまうと小説はすごく書きにくくて不要な表現になってしまうかもしれません。
寅間さんの小説には水商売系の女性がけっこう登場しますが、セクシャルな面はともかく、精神的にはあまりスレてない女性がほとんどです。すれっからしの女性を造形することもできるわけですが、男に合わせて自在に変化する柔軟性を持つ女性を描く方が、寅間小説には合っていますね。なにせ男性主人公が精神的にも肉体的にも揺れているわけですから(笑)。
今回のタイトルはユリシーズでこれはチョウチョの名前ですが、もちろんあの『ユリシーズ』にもかかっているでしょうね。ユリシーズを臆病な英雄と評したのはブランショだっけなぁ。ユリシーズは部下に自分を船のマストに縛り付けるように命じてセイレーンの声を聞いたわけです。本当は死と引き換えにしか得られない至高の快楽に、頭から飛び込もうとしなかった。セイレーンの方が死んでしまうわけですから、英雄ユリシーズは小心で残酷な誘惑者でもあったわけです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『十五、ユリシーズ』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『十五、ユリシーズ』横書版 ■
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