連載文芸評論 鶴山裕司著『夏目漱石論-現代文学の創出』(日本近代文学の言語像Ⅱ)(第15回)をアップしましたぁ。『漱石論』は『日本近代文学の言語像』三部作の中の一冊で、『正岡子規論』、『森鷗外論』といっしょに金魚屋から三冊同時刊行されます。今回は『Ⅲ 英文学研究と文学のヴィジョン-『文学論』『文学評論』(下篇)』です。
夏目漱石は日本近代小説の中では古典中の古典であり、膨大な量の研究書と文芸評論が出版されています。では研究書と文芸評論は何が違うのかと言えば、研究書は新事実などの丹念な調査に基づく客観的文学探究であり、文芸評論はオリジナルテキストと研究書に基づきながら現代文学を考察し、未来の文学に示唆を与えるために書かれます。鶴山さんの漱石論は後者であり、漱石の英文学研究も原理的には日本の未来の文学を考えるための文芸評論だったと言えます。
小説家も詩人も同じですが、創作者ははっきり言えば自己顕示欲の塊です。自分の作品が一番大事なのです。そうでなければ小説や詩といった、ある意味こっ恥ずかしくもある創作を広く世の中に発表できない面があります。裏付けのない自信が創作者には必要不可欠なのであり、それが時に創作者を崇高に見せたり、滑稽で愚劣に見せたりするわけです(爆)。
ただ創作者は自己顕示欲の塊という自己認識をはっきり持った上で、バランスを取るために一つは公的な仕事を持った方がいい。会社等で働き社会に貢献するのもいいですが、創作のかたわら、時間をかけて地に足が着いた評論を書いてもいいと思います。ただその場合でもきちんと仕事をしなければなりません。会社での成果と引けを取らない完成品を作る必要がある。石川、近年の創作批評に冷たいですが、それは批評家が批評を中途半端に創作化する子供じみた遊びに耽っているからです。評論を書くなら頭から尻尾まで、きちんと論理と資料的整合性を備えた評論を書かなくてはなりません。
■ 連載文芸評論 鶴山裕司著『夏目漱石論-現代文学の創出』(日本近代文学の言語像Ⅱ)(第15回) 縦書版 ■
■ 連載文芸評論 鶴山裕司著『夏目漱石論-現代文学の創出』(日本近代文学の言語像Ⅱ)(第15回) 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第0回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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