高嶋秋穂さんの詩誌時評『歌誌』『No.033 角川短歌 2016年10月号』をアップしましたぁ。特集『短歌のヒューモア』を取り上げておられます。江戸期までの短歌が公家を中心とした雅の文化で、俳諧が滑稽をも含む庶民文化だったことはよく知られています。そのため和歌には滑稽の要素が少なかったわけです。歌人でちょっと楽しそうな歌を詠んだのは橘曙覧くらいかなぁ。
こんなところに釘が一本打たれていじればほとりと落ちてしもうた
こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり
山崎方代
人間は予感なしに病むことあり癒(なほ)れば楽しなほらねばこまる
不可思議の面(おも)もちをしてわが孫はわが小便をするをつくづくと見る
斎藤茂吉
高嶋さんは特集掲載の大松達知さんと小池光さんの論考から、山崎方代と斎藤茂吉のおかし味のある短歌を引用しておられます。ちょっと人生の悲哀を感じさせる歌です。ただ口語短歌になるとその滑稽味の評価(解釈)が分かれるところがあります。山田航さんは斉藤斎藤さんや髙瀬一誌さんの歌をヒューモアのある短歌として推しておられます。おかしいと言えばおかしいのですが、かなり感覚的なヒューモアですねぇ。
牛のぬりえを私が調査した結果もっとも青いのは肩ロース
斉藤斎藤
横断歩道(ゼブラゾーン)にチョークで人型を書きもう一人を追加したり
髙瀬一誌
従来の〝短歌文学の文脈内〟では新しい表現かもしれませんが、一首で見ると弱いかもねぇ。口語短歌の多くは一首で完結してないんだな。多くの場合、散文などによる〝補足情報〟を必要としています。新たな表現を勇敢に追い求めながら、短歌文学を外から見るような客観的姿勢で冷たく捉え、歌自体に説得力のある表現をさらに追い求めてゆくと、口語短歌はさらに素晴らしいものになるでしょうね。
■ 高嶋秋穂 詩誌時評『歌誌』『No.033 角川短歌 2016年10月号』 ■
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