山本俊則さんの美術展時評『No.066 『ルノワール展』(前編)』をアップしましたぁ。東京国立新美術館で開催された、言わずと知れた印象派の大家・ルノワール展の批評です。どんな芸術ジャンルでも、あまり知られてない作家について書くよりも、よく知られた作家について書く方が難しい。でもま、んなこと言ってたら批評など書けないわけで、ポピュラーな作家についてスラリと書ける人の方が力があるわけです。
二十世紀に前衛アートの嵐が吹き荒れたこともあり、現代では未踏の表現領域は本当に少なくなっている。また現代は情報化社会でもある。ちょっとしたアイディアはすぐに共有され相対化される。(中略)作家の表現手法(アイディア)とその思想が密接に結びついていなければ、現代作家として成り立たなくなっているのだ。
それはわたしたちが〝モダン〟、つまり〝現代〟に肉薄していなければアートではないという二十世紀的なオブセッションから解き放たれて、膨大な過去と現在と、少しだけの未来予測から成り立つ本物のアーチストだけを愛する時代に生きていると言うことでもある。(中略)
そういった現代には、現代の起源をデュシャン的前衛ではなく、もう少し時間を遡って設定する必要があるだろう。印象派が現代の起点になると思う。ルネサンス、バロック、ロココ、ロマン主義、新古典主義etc.と絵画史を辿っていっても、絵画が写実から解き放たれたのは印象派を嚆矢とする。
(山本俊則)
今回の展覧会ではルノワールの代表作『ムーン・ド・ラ・ギャレット』が初来日しました。ヨーロッパが世界で一番華やかだった時代を代表する作品です。山本さんは『ルノワールをこんなに楽しんで見られるようになったんだな、と思った』とも書いておられます。それは山本さんだけの感慨でなく、多くの人に共通の感慨でしょうねぇ。一直線に未踏の領域を模索する前衛の時代は終わったと思います。前衛の質が明らかに変わったのが現代です。
■ 山本俊則 美術展時評『No.066 『ルノワール展』(前編)』 ■
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