金井純さんのBOOKレビュー『絵のある本のはなし』『No.029 マンガでわかる微分積分 石山たいら・大上丈彦著/メダカカレッジ監修』をアップしましたぁ。難しげな学問分野をマンガで説明しやうとする試みは不肖・石川の子どもの頃からありましたが、最近では物理や宇宙論、数学に至るまでマンガで学習するといふ本が出版されています。『マンガでわかる微分積分』もその一つですが、昔学校で習った内容をざっくり思い出すにはいい本ですね。
金井さんは「文学的な場面において、積分はあまり見かけないけれど、微分という言葉はときおり目にする。それはまさに微分としか表現しようのない、ある概念を伝えようとしている」からだと書いておられます。「文学的なものとして、私たちが感応したり、表現しようとしたりするものとは、多かれ少なかれワーニング(警告)である。うっかりした人間なら見落としそうなこと、それによって価値の喪失が起こりそうなことを示し、注意を促す。人生が豊かになるとは、いわば文学的な警告によって、そのような価値の喪失を免れることである、と定義できるのではないか」と批評しておられます。その通りでせうね。
世の中は変化し続けていて、ある時期になって、それが誰の目にも明らかになる瞬間があります。でも変化の兆しはそのずっと以前からあったわけで、金井さんは「ある既成の値(結果)にばかり気を取られて、そこへ迫る勢い(微分係数)を捉え損ねるといった鈍さは、この浮世にいくらでもありそうだ」と書いておられます。多分といふより間違いなく、現代はそういう時代です。同時代で現在進行形なので期間は特定できませんが、現代は分水嶺で、旧時代(世代)と新時代(世代)に区分されるやうな変化の時代だと思いますぅ。
■ 金井純 BOOKレビュー 『絵のある本のはなし』『No.029 マンガでわかる微分積分 石山たいら・大上丈彦著/メダカカレッジ監修』 ■