池田浩さんの文芸誌時評 『No.006 S-Fマガジン 2013年01月号』 をアップしましたぁ。牧眞司さん作成の S-F 年表を取り上げておられますが、日本の SF の起源は 1950 年代なんですね。高度経済成長とほぼ同時に日本の SF は始まったようです。あ~なるほど~と思うところがありますね。
最初の特撮モノの 『ウルトラQ』 は 1966 年制作、単体では最もヒットした日本の SF 小説、小松左京さんの 『日本沈没』 は 1973 年出版です。しかしいずれも暗い内容です。『ウルトラQ』 のヒット要因の一つは、〝恐竜〟 でも 〝怪物〟 でもなく 〝怪獣〟 という得体の知れない言葉を使ったことにあるという解説を以前読んだことがあります。『日本沈没』 が、いわゆるハルマゲドンを描いていることは言うまでもありません。
高度経済成長の浮かれた世相に冷や水を浴びせかけるような作品を生み出したことは、SF というジャンルの本質を示唆しているのかもしれません。それにウルトラ・シリーズはウルトラマンと始めとしてえんえん続くわけですが、カネゴンやバルタン星人など、初期のキャラクターしか生き残っていません。あるジャンルを作り出し、新たな表現領域を切り拓いた作品しか、後世には残らないのかもしれません。
■ 池田浩 文芸誌時評 『No.006 S-Fマガジン 2013年01月号』 ■