萩野篤人 文芸誌批評 萩野篤人 文芸誌批評 No.015 更地郊「粉瘤息子都落ち択」(すばる2025年11月号)、No.016 坂本湾「BOXBOXBOXBOX」(文藝2025年冬季号)、連載評論『九鬼周造と「偶然性」をめぐって』(第02回)をアップしましたぁ。
文芸誌批評では「すばる文学賞」受賞の更地郊さんの「粉瘤息子都落ち択」、「文藝賞」受賞の坂本湾さんの「BOXBOXBOXBOX」を取り上げておられます。石川も読みましたがんー、といった感じかなぁ。先行きの見えない社会(世界)を先行き不透明のまま表現した小説という感じが漂います。ただ純文学系文芸誌は少なくとも現代社会の閉塞感を捉えた小説に新人賞を与えることで突破口を見出そうと足掻いているような。もちろん突破口はその先にある。そして間違いなく誰かが突破する。それを待っているんでしょうね。
連載評論『九鬼周造と「偶然性」をめぐって』は萩野さんの独壇場です。『九鬼は「偶然」の本質を「必然」という概念の否定あるいは裏返しとして三つのカテゴリーに分け、それぞれ(イ)定言的偶然(論理的偶然)、(ロ)仮説的偶然(経験的偶然)、(ハ)離接的偶然(形而上的偶然)と呼んだ』わけですが、こんな仮説(分類)を試みたのは九鬼周造くらいです。
人間は必ず偶然を必然に変える。必然だったのだと跡付けます。そこから物語が生まれる。理論が生じます。しかし根本(本源)にある偶然はもっと錯綜したものです。必然はその部分に過ぎない。その深部に踏み込むと偶然→必然から構成される世界は崩壊し偶然の本質が見えて来る、のかどうか。スリリングな思考実験は続きます。
■萩野篤人 文芸誌批評 萩野篤人 文芸誌批評 No.015 更地郊「粉瘤息子都落ち択」(すばる2025年11月号)■
■萩野篤人 No.016 坂本湾「BOXBOXBOXBOX」(文藝2025年冬季号)縦書版■
■萩野篤人 連載評論『九鬼周造と「偶然性」をめぐって』(第02回)縦書版■
■萩野篤人 連載評論『九鬼周造と「偶然性」をめぐって』(第02回)横書版■
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