第03回 文学金魚新人賞受賞作 青山YURI子さんの連載小説『ショッキングピンクの時代の痰壷』『No.004 テスト職人の一日/ブルー』をアップしましたぁ。青山さんの小説は組版は難しいのですが、組んでいても読んでも楽しいですねぇ。あえてジャンル分けすれば、青山さんの作品は前衛小説に属することになると思います。しかし前衛と言って想起されるような臭みがぜんぜんない。恐らくご本人は自分の作品が前衛だとは思っていない。あるいはそんなことは気にしておられないと思います。

 

前衛小説でなぜ臭みが生じるのかといえば、それは日本文学の特徴を理解した上で、その文脈をあえて外そうとしている面があるからです。物語の設定や書き方が前衛的に写ったとしても、読み進んでゆくと意外と簡単に底が割れることが多い。文学ジャーナリズムでは底が割れたとしても『まあ果敢な挑戦だよね』という感じで一定の評価を与えることも多いわけですが、多くの作家が『これじゃぁ保たないよね』と思って静観しているのも確かです。実際、ほとんどの前衛作家は作家が思っているほど前衛的試みをしていない。

 

青山さんの前衛的な作風はそういった疑似前衛とはちょっと質が違います。この方は本気で文章と映像と音楽の融合を、文学という文字を中心に試みようとしておられると思います。このくらい本気で無謀というか野蛮というか、前衛的な試みを真正面から行う作家は珍しいですね。スペインを拠点に創作しておられることも影響しているのかもしれません。

 

文学が不況産業になってからだいぶ経ちますが、経済的にはあんまり期待できないジャンルであるにも関わらず、創作や批評スクールの数は増えています。意地悪な言い方をすれば売れない作家や批評家がノウハウの切り売りをし始めたとも言えるわけですが、逆に言えば〝新たな文学手法〟のハードルが上がっているということでもあります。文学といえども中核はほとんど〝言語技術〟で出来上がっているわけで、そのノウハウが作家個人で囲い込まれずに流出しているからです。つまり作品の底が見えやすくなっている。

 

文学に関する情報の流出はそれなりに膨大であり、作家がその処理に追われて日本文学〝内〟に閉じこもりがちになる傾向が生じています。しかしその一方で、文字通り〝外〟から日本文学を捉える作家も現れ始めている。青山さんはそういった作家の一人だと思います。

 

 

青山YURI連載小説『No.004 テスト職人の一日/ブルー』 縦書版 ■

 

青山YURI連載小説『No.004 テスト職人の一日/ブルー』 横書版 ■

 

 

第05金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第0回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

 

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