山本俊則さんの美術展時評『No.065 『禅-心をかたちに-』展(前編)』をアップしましたぁ。臨済宗と黄檗宗の禅の遺物を集めた展覧会です。禅というとなにやら難しげげすが、山本さんの批評はわかりやすいですねぇ。『禅の展覧会ねぇ。うーんと思いながら見に行った。(中略)地味な展覧会だろうなと予想していたが、予想を裏切らず全体的に地味でした』と書いておられます。文章の入りが軽い。禅のように重い展覧会では大事な要素です。

 

 この時代の為政者たちの心性は能楽によく現れている。死者が出て来て怨念を語る劇を為政者たちは好んで見ていたのだ。さすがに『平家物語』などから採られた過去の死者ばかりだが、為政者がそこに昨日自分が滅ぼした死者たちの声を聞いていたのは疑いない。もちろん倒錯したマゾヒスティックな心性ではない。能の死者は自分であったかもしれないという無常観が為政者たちの心にあった。殺伐とした現実を見すえながら、なおもその彼方にある救済を得ようとする心性だとも言える。世阿弥の娘婿・金春禅竹は禅に傾倒したが、当時の人々の心にピタリと合っていたのが禅だった。あらゆる宗教と同様に禅も心の救済を求めるが、その基盤は現世にある。

(山本俊則)

 

山本さんの美術評は文学や社会学を取り混ぜたものになっています。現代では本質的にこういった批評が求められるだろうなぁ。もちろん地道な研究はとっても大切です。だけど研究成果をどう活用してゆくのかが、現代を理解し未来を予測する糧になります。あるジャンルに視線を固定していたのではそれはできません。複眼的な視線と知性が必要です。

 

 

山本俊則 美術展時評『No.065 『禅-心をかたちに-』展(前編)』 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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■ 予測できない天災に備えておきませうね ■