純文学エンターテイメント作家、遠藤徹さんの連載小説『ゆめのかよひじ』(第11回)をアップしましたぁ。『よびだすまじょ』(後編)です。主人公の女の子は、苦労の末、ようやく〝いつわりのまじょ〟を呼び出してもらえることになります。

 

 「よくもどってきたね」

 まじょが、うれしげなこえをはじけさせました。

 でも、それはあたしのぶじをよろこぶことばではありませんでした。

 「いとしい、わたしのまほうじんよ!」

 よびだすまじょが、よろこびあふれてよびかけたのは、ひかりかがやくまほうじんにむかってだったのです。(中略)

 「ほんとに、なんでもいうことをきくんですね」

 「おだまり」

 よびだすまじょは、しいっとくちにゆびをあてました。

 「こいつは、まかいとのとびらだよ。そんなにひとすじなわじゃいかないさ。へたしたら、こっちがとりこまれちまうんだよ。いつだって、あやういとりひきなんだ」

 そんなふうにあたしをしかるくせに、まじょは、まほうじんがかわいくてかわいくてしかたがないというかんじでした。

 「おお、よしよし。いつものように、きれいだね。どうしてたね。そくさいだったかい。ずいぶんと、ひさしぶりじゃあないか」

 まるで、かけがえのないわがこのあたまをなでなでしているかんじでした。

(遠藤徹『ゆめのかよひじ』)

 

こういった突き放すような冷たさが遠藤さんの小説のいいところですね。小説が主人公中心に動いているのは当たり前のことですが、他の作中人物たちは、それぞれ好き勝手な愛や行動基準を持っているのです。だけど本気で願えば、ほんのちょっとだけ他者は手助けしてくれる。そういったリアリティが、ホラーであろうとファンタジー系小説であろうと、遠藤さんの小説に強い説得力を与えているのでありますぅ。

 

 

遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第11回) 縦書版 ■

 

遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第11回) 横書版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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